プラセンタとは、美容と健康をサポートしてくれる注目の素材!

最近、美容や健康などの分野で耳にすることの多い「プラセンタ」。本来は、胎盤を意味しています。胎盤は妊娠時に子宮内に形成され、母体と胎児をつなぐ器官です。多くの栄養素が含まれているため、古くから美容や健康維持に使われてきました。現在では馬、豚などの動物由来、ヒト由来のプラセンタ以外に、魚、植物由来のものが開発され、健康食品や化粧品など幅広い分野で活用されています。ここで「プラセンタ」について、正しい基礎知識を身に付けていきましょう。

監修
東京中央美容外科 中野院 院長
井上 真梨子 先生

プラセンタの知識と選び方のポイント

プラセンタの原料・種類と成分を知り、自分に合ったタイプを選びましょう

今、市場に出回っている「プラセンタ」には馬・豚・羊・魚・植物・ヒト由来の6種類があります。本来、胎盤を意味する「プラセンタ」は哺乳類にしかないもので、成長因子を含んでいるのが特徴です。しかし、魚・植物由来のプラセンタのように「プラセンタ」と名前が付いていても、成長因子が含まれていない全くの別物もあります。これらの「プラセンタ」は胎盤に相当する部分を使用しています。 今回は6種類の「プラセンタ」を取り上げ、それぞれの性質と特徴を解説します。

成長因子が含まれているプラセンタ

馬由来プラセンタ
  • アミノ酸含有量が豚よりも多い(豚の1.2~1.5倍)。
  • 馬の出産は年1回で、1頭しか生まれないため胎盤量が少ない。希少性が高いため原材料費も高い。
  • 日本国内で製造された「プラセンタ」は、ほとんどが健康なサラブレッドの胎盤を使用。
  • 獣医師立ち会いのもとで出産した馬の胎盤を使用し、品質・衛生管理が厳密に行われる。
豚由来プラセンタ
  • 分子構造が人間に近く、すぐ製造できるため安価。健康な豚の場合、2年間で平均5回出産し、20頭以上生まれるので胎盤量が多い。
  • 普通の豚とは違い、SPF豚という原料を使った「プラセンタ」もある。SPF豚は徹底された環境の中で育てられ、通常の豚よりもプラセンタの栄養成分が豊富。
羊由来プラセンタ
  • 欧米では使用されているが、BSE(牛海綿状脳症)の発生に関連して日本では牛や羊など反芻動物の胎盤は使用は規制されている。
  • 日本に流通しているのはオーストラリア・ニュージーランド産などBSEが発症していない国の輸入品。
  • 人間の胎盤に一番近いアミノ酸組織であり、体内への浸透が優れているといわれている。
ヒト由来プラセンタ
  • 原料は人間の胎盤。産婦人科と提供者の同意によって提供される。
  • 事前に感染病の検査を行い、問題のない胎盤を使うので、安心して使うことができる。
  • 医薬品として使用される原材料と定められているため、健康食品・化粧品には使用できない。医療用の注射液などとして使われる。
  • ヒトプラセンタの注射を受けると、献血ができなくなるという制限が付く。

成長因子が含まれていないプラセンタ

魚由来プラセンタ(海洋性プラセンタ)
  • 卵を生む魚由来のもので、胎盤に相当する部位「卵巣膜」と呼ばれる薄い皮より抽出。
  • アミノ酸をはじめ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ビタミン・ミネラルが豊富に含まれている。
植物由来プラセンタ
  • 胎盤に相当する、発芽が起きる「胎座(たいざ)」と呼ばれる部分を使用。
  • アミノ酸、ビタミン・ミネラルの他、イソフラボンやポリフェノールが含まれている。

古くから美容と健康維持に愛され続けてきたプラセンタの歴史について知りましょう

「プラセンタ」は紀元前からその優れた成分が注目され、美容や健康に有効活用されてきました。 クレオパトラや楊貴妃なども愛用していたといわれる「プラセンタ」。その歴史を簡単にひも解いてみました。

中国では紀元前から健康維持に「プラセンタ」を使用
中国では秦の時代、紀元前210年~259年に不老長寿の薬として使用されていたといわれています。また、唐の時代は楊貴妃も愛用していたとされ、明の時代の医学書である「本草綱目」によると、「プラセンタ」は紫河車(しかしゃ)と呼ばれていることが分かっています。紫河車は現在でも販売されています。
古代から世界の美女たちが愛用していた「プラセンタ」
「プラセンタ」は古代エジプトではクレオパトラが、中国では唐の時代に楊貴妃が、18世紀のフランスではマリー・アントワネットも使っていたとされています。このように世界的な美女として名高い偉人たちが「プラセンタ」を愛用し、美しさに磨きをかけていたという点でも、早くから着目されていたことが分かります。
日本に「プラセンタ」が伝わったのは江戸時代
日本に「プラセンタ」が伝わったのは江戸時代。加賀三大秘薬の一つといわれた「混元丹」に「プラセンタ」である紫河車が含まれていたとされています。当初はヒトの胎盤を粉末にして、漢方薬に配合していました。その後、胎盤をエキスにして皮下に注射する胎盤埋没療法が行われ、健康に役立てていました。

参考文献:漢方情報誌phil漢方「紫河車」
現代における「プラセンタ」の活用
「プラセンタ」が製剤として活用されるようになったのは第二次世界大戦末期。戦争の影響で栄養不足と新生児の死亡率を改善するために、国家命令で高度栄養製剤の開発が進められ、京都大学医学部産婦人科の三林隆吉博士(1898 〜1977)は胎盤から経口栄養剤を創製しました。

参考文献:日本胎盤臨床研究会 研究要覧 No.2 2008

現在ではさらに研究開発が進み、「プラセンタ」の成分をあますことなく取り出せる技術が発達。その結果、「プラセンタ」の活用は健康食品(サプリメント)・化粧品などさまざまな分野に広がっています。

プラセンタの製造方法と安全性を知り、信頼できるプラセンタを選びましょう

「プラセンタ」がどのような製造工程を経て商品化されているのか、また安全性に対する取り組みがどのように行われているのかを知ることによって、信頼できる良質な「プラセンタ」を選ぶことができます。ここで簡単にプラセンタエキスと純末の製造工程をご紹介しましょう。 「プラセンタ純末」は、胎盤から抽出したプラセンタエキスを凍結乾燥などによって水分除去したものです。

プラセンタエキス・プラセンタ純末の製造工程

動物由来のプラセンタエキス、純末の製造を例に挙げて、製造工程を紹介します。

  • 契約農場より「プラセンタ(胎盤)」を搬送。原料となる「プラセンタ」は健康な豚・馬などの満期出産後の胎盤を使います。
  • 「プラセンタ」を酵素分解、塩酸分解などの方法により分解後、抽出工程を経て「プラセンタエキス」(加熱殺菌されたもの)が完成。
  • 「プラセンタエキス」を凍結乾燥、噴霧乾燥などの方法により、水分を除去し「プラセンタエキス純末」が完成。

    ※非加熱で製造が行われている「プラセンタ」の場合、安全に製造、管理が行われているかどうかは最も重要な問題です。

プラセンタの安全性

「プラセンタ」の安全性を知る上で必要なことは、プラセンタエキスや純末になる原料から商品を製造、出荷されるまでの過程において、どれだけ安全性に留意し厳しいチェックと管理がなされているかです。中でも、栄養食品やサプリメントで最近注目を集めている「生プラセンタ」は非加熱処理であることから、菌やウイルスがいない「プラセンタ」を使用し、衛生管理が徹底されていることが必須条件です。

「プラセンタ」が安全であることを確かめるためのポイントは以下の通りです。

  • 健康管理・衛生管理の体制を持っている農場の豚や馬のみを使用。
  • 家畜伝染病予防法、と畜場法に基づき、検査対象疾病など複数の獣医師によって管理され、製造工程の段階における感染症の心配はないもの。
  • 製造管理・品質管理が徹底されているGMP取得の工場で製造されているもの。

    ※GMPはGood Manufacturing Practiceの略で、医薬品及び医薬部外品の製造管理と品質管理の基準を指しています。原材料の入荷から製造、最終段階の商品の出荷に至るまで、製品が安全に作られ品質が保たれるようにされており、WHOなどの国際機関と各国の規制当局が策定しています。

プラセンタとは健康的な生活に必要な成分が
たっぷり入った「栄養の宝庫」

「プラセンタ」には脂質、糖質、タンパク質、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、成長因子など、人間が健康に生活するために必要なものが多く含まれていますが、最大の特徴は成長因子にあります。「プラセンタ」が健康や美容によいといわれる理由も、動物由来やヒト由来のプラセンタに含まれている成長因子が関係しています。

プラセンタ特有の成分「成長因子」は美容業界からも注目の素材

成長因子(グロスファクター)とは
成長因子とは、動物体内において特定の細胞の増殖や分化、修復や再生を促す内因性のタンパク質の総称です。成長因子は細胞に働きかけて、細胞分裂を活発にし、新しい細胞を次々と生み出す働きがあります。こうしたことから胎児の成長に欠かせない成長因子は、胎盤である「プラセンタ」を通じて送られてくるのです。
成長因子の種類
成長因子にはいくつかの種類があり、それぞれが重要な働きを持っています。主な種類は次の4つです。
EGF(上皮細胞増殖因子)
皮膚の表面にある受容体と結びつき、新しい細胞の生産を促進。エイジングケアの化粧品の原料によく使われている。
IGF(インシュリン様成長因子)
成長ホルモンの作用によって肝臓から分泌されるため、インシュリン様作用がある。軟骨細胞や平滑筋細胞の増殖を促す。
TGF(トランスフォーミング成長因子)
組織の生成、細胞分化、胚の発育などを促す。
NGF(神経成長因子)
皮膚刺激や創傷治癒の過程で上皮細胞や繊維芽細胞から産生され、 神経細胞の生存や神経線維の成長を促す。

プラセンタは成長因子の他に豊富な栄養成分がバランスよく含まれています


プラセンタとは?

「プラセンタ」には成長因子・アミノ酸・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれているため、化粧品・健康食品など幅広い分野で活用されています。主な栄養成分の働きをご説明します。

プラセンタに含まれている栄養成分

成長因子
細胞に働きかけて、細胞分裂を促し、新しい細胞を生成するなど、新陳代謝を向上させる役割がある。
タンパク質・アミノ酸
タンパク質は血液や筋肉など体の主要な部位を構成する働きがあり、アミノ酸から構成。体の細胞を作る上で欠かせない栄養素。アミノ酸は必須アミノ酸と非必須アミノ酸に大別され、必須アミノ酸は体内で合成することができない。
ビタミン
エネルギー源や体を作る成分ではないものの、生命維持に欠かせない栄養素。ビタミンの大半は体内で生成することができない。
ミネラル
体の維持や調節に不可欠な栄養素で、カルシウムやカリウム、鉄、亜鉛などがある。

プラセンタの栄養成分を取り入れるには?
3種類の活用方法で継続的に

「プラセンタ」の研究、開発が進んだ今日では、化粧品、健康食品(サプリメント)などによって、「プラセンタ」の栄養成分を取り入れることができます。 ただし、「プラセンタ」を効果的に活用するには、商品の特徴を理解した上で、自分に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは健康食品(サプリメント)、化粧品における、それぞれの特徴をご紹介します。

1.健康食品(サプリメント)は豚・馬由来の成分が主流

体の健康や美容のために「プラセンタ」を最も手軽に取り入れられるのが、健康食品(サプリメント)。基本的にどのような特徴があるのかまとめてみました。

「プラセンタ」が配合された健康食品(サプリメント)の特徴
  • 豚や馬由来のプラセンタを使っている場合がほとんど。
  • 豚や馬由来のプラセンタはアミノ酸量が異なるだけで効果はほぼ同じ。
  • 羊由来の成分のサプリメントもあるが、オーストラリアやニュージーランドなどBSE(牛海綿状脳症)が発症していない国からの輸入品。
  • 厳重な管理体制のもとで安全に抽出された「プラセンタ」を使っており、中の栄養成分が失われないような製造工程を経て商品となり出荷されている。

以上のことを踏まえて、「プラセンタ」の健康食品(サプリメント)を使う場合、次のポイントを押さえて選びましょう。
「プラセンタ」が配合された健康食品(サプリメント)の選び方
  • プラセンタの量がどのくらい配合されているか確認すること。
  • プラセンタの純末かエキスなのか、成分表示を確認すること。
  • 羊由来のサプリメントは、オーストラリアやニュージーランドなどBSE(牛海綿状脳症)が発症していない国からの輸入品であることを確認。

健康食品(サプリメント)は薬とは違うため、毎日の栄養補給に継続的にお召し上がりいただくことがよいでしょう。

2.多くの女性から支持されているプラセンタ配合の化粧品

「プラセンタ」が配合された化粧品は保湿力が高く、エイジングケアによいといわれ注目を集めています。化粧品の場合の特徴と選び方をまとめてみました。

「プラセンタ」が配合された化粧品の特徴
  • 豚や馬由来の「プラセンタ」を使っている場合が多い。
  • プラセンタエキスが配合された化粧品は保湿力に優れている。
  • 特にEGF(上皮細胞増殖因子)が配合された化粧品は、肌のターンオーバー(表皮の新陳代謝)を整え、エイジングケアを行いたい人に人気です。
「プラセンタ」が配合された化粧品の選び方
  • エイジングケアが気になる人は、成長因子を含んだプラセンタ化粧品を選ぶとよいでしょう。
  • 成分表示は配合が多い順に記載。前の方に「プラセンタ」の表示があるほど成分量も多い。

3.注射(医療機関のみ)は美容目的の場合、自由診療


医療機関でのプラセンタ

医療機関で使用されている「プラセンタ」は、ヒトの胎盤から抽出されたヒトプラセンタのエキスです。プラセンタの美容、健康成分を注射して体内に取り込むことで、美容と健康維持に期待ができます。

プラセンタ注射薬
「プラセンタ」の注射は皮下注射か筋肉注射のいずれかです。点滴、静脈注射は厚生労働省で認められていません。注射薬は医療用医薬品として厚生労働省の認可を受けたもので安全性の高い薬剤です。 注射薬としては以下の2製剤が薬事法の承認を受けています。

ラエンネック:肝機能改善剤として使われる
メルスモン:更年期障害、乳汁分泌不全などホルモン系の治療に使われる

これまでにプラセンタ注射による感染症の報告は一例も出ていません。ただし、注射はヒトの胎盤エキスをヒトに移すことから、より確かな安全性を配慮し「プラセンタの注射を1度でも受けた人は献血ができない」と厚生労働省が定めています。こうした問題も踏まえた上で、プラセンタ注射を受けるかどうか医師と相談して決めるようにしましょう。
美容クリニックによる美容目的の注射
医療機関でプラセンタ注射を受ける際、病気の治療目的の場合は保険適用になりますが、健康維持や、美容目的の場合は自由診療です。自由診療の場合はクリニックによって費用が異なります。

プラセンタについて まとめ

最後に「プラセンタ」について、もう一度おさらいをしておきましょう。

1.プラセンタの知識と選び方のポイント

  • 「プラセンタ」は胎盤のこと。哺乳類動物特有のもので、多くの栄養素を含んでおり、美や健康が気になる方におすすめしている成分です。
  • 「プラセンタ」には成長因子が含まれている馬、豚、羊、ヒト由来の4種類の他に、「プラセンタ」と名が付いているものの、成長因子が含まれていない魚由来、植物由来があります。
  • 「プラセンタ」の種類によって、アミノ酸など栄養成分の含有率が異なるため、それぞれの特徴を知った上で自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
  • 「プラセンタ」の歴史は紀元前にさかのぼり、秦の始皇帝をはじめ、古代エジプトではクレオパトラ、中世のフランスではマリー・アントワネット、唐の楊貴妃など世界の偉人たちが美容や健康維持のために愛用していたといわれています。
  • 古くから健康維持に使われてきた「プラセンタ」は研究開発の末、現代では化粧品や健康食品(サプリメント)など幅広い分野で活用されています。
  • 「プラセンタ」は厳重な管理体制のもとで、安全性の高い胎盤を使用し、徹底した製造管理、品質管理がなされているものが販売されています。

2.プラセンタに含まれる豊富な成分

  • 動物由来の「プラセンタ」には成長因子以外に、タンパク質、アミノ酸、ビタミンなど人間が生きていく上で必要不可欠な栄養素が含まれています。
  • 「プラセンタ」に含まれている成長因子は細胞に働きかけて、細胞分裂を活発にし、新しい細胞を次々と生み出す働きがあり、代表的な成長因子はIGFやEGFなど全部で4種類です。

3.プラセンタの活用法

  • 「プラセンタ」の美容、健康を取り入れる方法として、注射、化粧品、健康食品(サプリメント)の3種類があります。
  • 健康食品(サプリメント)は馬、豚由来のものが大半ですが、羊由来のものの場合はBSE(牛海綿状脳症)の発症がない国からの輸入品であることを確認しましょう。
  • 化粧品も馬、豚由来のものが多く、成長因子の含まれている動物由来のプラセンタの方が多くの女性に支持されています。
  • ヒト由来のプラセンタ注射を1度受けると厚生労働省の規定によって献血ができなくなるため、医師と相談の上で決めるようにしましょう。

動物由来の「プラセンタ」には細胞の分裂や増殖を促進・活性化させる成長因子が含まれており、美容や健康が気になる女性のサポートに欠かせない存在です。プラセンタエキスを取り入れるには、健康食品(サプリメント)、化粧品、注射などがありますが、自分に合った方法を選び継続的に取り入れてみてはいかがでしょう。

監修

東京中央美容外科 中野院 院長 井上 真梨子(いのうえ まりこ) 先生